覚悟を秘めて

 若かった頃は先がまだ十分にあったから、あれもしたい、これもしたい、と夢や希望が膨らみ、ただそれらを想像、夢想、妄想するだけで楽しかった。

 が、年を取り先が短くなると、夢や希望は限定され、より現実的で具体的、なにより身体的なものへと変わってゆく。

 すなわち、寝たきりになりたくない、車椅子の世話になりたくない、病院や施設に入らず住み慣れた自宅で過ごしたい…要するに最期まで自力で生きたいと願うばかりになる。

 ずいぶん寂しい話だが、これが現実だろう。何をやるにしても心身の健康が基本である以上致し方ない。

 人生100年時代を迎え、60代、70代なんてまだまだ若いし、この先30~40年をどう生きるのか、すなわち第二の人生設計が求められるが、とはいえ、日々残りの人生は確実に短くなってゆく。

 だから、限られた時間を大切にせねばと思わずにはいられず、他者に迷惑をかけず、なるべく充実した悔いのない人生を全うするにはどうすべきか、と考えてばかり。

 何をするかは人それぞれ。私にもやりたいことが沢山あり、実はあれもこれもと手をつけたいが、無理すると全てが中途半端になりかねない。

 ただ、心構えだけはしっかりとしていたいもの。元気で長生きしたいのは本音だが、自分の人生は「残りわずか一週間かせいぜい一ヶ月、どんなに長くても一年足らず」との覚悟を心の片隅に秘めながら毎日を過ごしたい。