自立のすすめ

 人間が自立するというのは「生活費を自分で稼ぐ」だけでなく、「身の回りの用事を自分で処理する」ことでもある。前者より、むしろ後者の方がより重要な意味を持つと思う。

 稼ぐことばかりが注目され、これまで家事労働が軽んじられてきた。しかし誰もができる当たり前の家事労働をしない(できない)人はそもそも生活できないのであり、生活できなければ自立してることには全くならない。

 自立したくてもできない障害者のような人たちには社会がサポートし、自立を促す取り組みを進めるべきで、実際に自立できなくても、自立したいという気持ちを抱いてもらうことが大切、是非そんな社会になってほしい。

 自立はどんな分野においても問われる、政治、経済、科学、芸能、スポーツ…。どんなに稼ごうと、たとえ社会的な地位や名声を得ようと、当たり前のできることをしない人は自立からは程遠く、半人前も甚だしい。

 特定の分野で成功した人が「夢は必ず実現する」と口にしても、大多数が挫折する現実にそんな言葉はまるで説得力を持たない。大谷翔平を目指しても「みんな大谷翔平になれる」わけないし、たとえ努力しても「みんな大金持ちになれる」はずがない。

 しかし大多数の人は家事労働ならいくらでもできるだろう。「身の回りの世話を自らしてるかしてないか、それは大きな判断基準となり、それで生活基盤は作られる」はかなり説得力がある。

 世界が新型コロナのパンデミックに翻弄される最中、ウクライナや台湾情勢がキナ臭く一触即発の危機にあり、明日にでも大規模戦争が始まるかのような雰囲気だが、権威を纏い威圧したがるプーチンさんや習近平さん、ついでに金正恩さん、彼らは家事労働をしたことがあるのか? 日本の威張りたがる「長老」たちはどうか? 果たして彼らは一人の人間として自立してるのだろうか?