パンデミック後の世界

 一日の新型コロナ感染者数が9月に入ってから急に減り出した。東京では先月6000人近くまで膨れ上がったのに、ついに1000人を割るまでに至っている。全国的にもピーク時25000人前後だった感染者数は10000人以下となった。

 専門家はワクチン効果や人流の抑制等、いろいろ理由を挙げているが、しかし、どれもが説得力に乏しく今ひとつ信用ならない。やはり季節的要因もかなり大きいのではないだろうか。どんな対策を取ったとしても、冬にはまた感染拡大すると思われる。

 第6波は必ず来るし、それ以降も波は続くだろう。一体いつまで繰り返すのか分からないが、ワクチンやロックダウンのような対策も効果はあるにせよ、インフルエンザ並みに認識され毎年ワクチン接種が奨励される段階になるまで、結局は時間が経過するのを待つしかないのかもしれない。

 それにしても、新型コロナの世界的パンデミックは、人類への「しっかりしろ!」とのメッセージなのとつくづく思う。自由と規制、民主と権威、個人と組織…それら人類が内在する疑問や矛盾に対し、もっと考えよ、そして未来へさらに前進せよ、とのウイルスからの叱咤激励なのだと受け止めたい。

 個人主義とか自由主義とか聞こえはいいが、よく分析するなら現在のそれは自分主義で勝手主義に過ぎず、このパンデミックを通して未だ人類は一人ひとりの人間を大切にする人道主義を確立していないことが分かる。

 自分主義や勝手主義は即権威や統制や支配に結びつく。真の自由や平等が成長するためには個人を知ることがなにより大切だが、そのためには「私」よりもむしろ「あなた」の意識が重要になるだろう。自分に内在する他者への意識が「個人への想い」を成長させる。そして、自身に内在する他者を大切にするということは、自分自信をも大切にせざるを得なくなる。

 戦争や大災害、さらに大事故や大事件の以前と以後とで世界観が変わるとよく言われるが、新型コロナのパンデミックは良くも悪くも大影響を全世界に及ぼし、パンデミック後の世界をどうするのか、今まさに人類は問われているのだと思う。