意識の転換が必要

 9月11日といえば、あのニューヨークで起きた大規模テロ事件をどうしても思い出す。ハイジャックされた旅客機二機がツインタワーに激突、炎と噴煙が巻き上がり、瞬く間に二つの超高層ビルが崩れ落ち3000人もの犠牲者が出た。

 当時、私は東京新宿歌舞伎町の自分が経営するBarで、一晩中大事件の実況中継をテレビで見ていたが、それはまるでハリウッド映画の新作を眺めているようだった。あれから丸20年、世界の構図は21世紀の幕開けと共に、混沌を深め、大きく様変わりしたと言われている。

 だが、忘れてならないのは、ニューヨークの3000人の犠牲者だけでなく、その後のアフガニスタンイラク戦争で、数えきれぬ市井の人々が為政者たちの勝手な思惑で殺されてしまった事実だ。結局、アメリカは20年に及ぶ侵略戦争で結果を全く残せず、またしても敗北した。

 国家・宗教・民族間等で愚かな紛争が未だ絶えないが、そろそろ意識を転換し、人類は無駄な戦争を繰り返さないよう知恵を出さなければ。

 現在、最も重大で憂慮すべき問題が幾つかある。一つは人口爆発問題で、今世紀中に世界の人口は100億人を超えること。二つ目は温暖化を含む環境問題で地球の生態系が変わること。三つ目はコンピユータの発達による管理体制問題で地球が巨大な刑務所と化すこと。

 いろんな事象が複雑に絡んでいるが、大きく分けるなら以上の三点だ。自覚せねばならないのは、どれもが世界的な大問題なので、国単位で解決することは不可能だということ。特定の地域で人口減少に悩んだり、豊かさを求めて経済を優先したり、便利だからとネットに依存するのは、つくづく本末転倒なのである。

 新型コロナの世界的パンデミックは、異なる文化や習慣など多様な価値観を認めつつ、人類が互いに協力し合わなければならないことをウイルスが訴えているように思えて仕方ない。どうか、災い転じて福となりますように。