違和感の最たるもの

 日本社会にはいろいろ問題が山積するが、中でも特に「人口減少と少子高齢化」が重大とのこと。何年か前、人口が1億2千数百万のピークを迎えたが、いよいよこれからは減少に転じると報道された。しかも、ただの減少ではなく、子供が減るかわりにお年寄りが増加する逆ピラミッド型人口減社会がしばらく進行してゆく。

 現在65才前後で人口比率が高い「団塊の世代」の人たちが、これからは超高齢者となるので、この先20年〜30年間、お年寄りが増えるのは当然。ところが、その子供たちや孫の世代が極端に少ないため、今世紀の半ば過ぎには団塊の世代も寿命となり、日本の人口は8500万くらいになるだろうと予測される。

 50年後に現在の人口が2/3近くまで減少することで、このまま放置すれば衰退するばかりだと日本の将来を危ぶむ声があちこちから聞こえてくる。

 ところで、何回か前の記事で「異常気象、沖縄や原発の理不尽、アベコベミクス、労働組合の変質…、どうしようもない違和感がつづく」と書いたが、しかし私にとって違和感の最たるものが、じつは日本の「人口減少と少子高齢化」である。

 日本だけを見ると確かに人口減だが、しかし世界全体では人口が増加している。今現在70億人ほどだが、今世紀中には100億人を突破するだろうとの予測だ。もちろんこのままずっと地球上で人口が増加するはずがなく、22世紀の半ば頃からは減少するらしいが、しかしともかく今現在、この21世紀は人口増加、いや人口爆発と呼んでも差し支えないくらいの状況にあることだけは確かだ。

 世界中で人口が増加しているのに、人口減を嘆く日本。これはいったいどうしたことか。これは「日本」という狭い範囲でしか物事を考えていない、なによりの証拠ではないか。日本という地域で暮らす多くの人々は日本人と呼ばれるが、それにしても、もうそろそろ日本人を卒業し、地球人としての自覚を持ったほうがいい。

 日本人よりも地球人なんて、ちょっと格好良すぎるけど、しかし実際、これから私たちはなによりも地球人でなければならないはず。日本で人口減が心配なら、人口の多い地域から移住してもらえばいいではないか。言葉や習慣や宗教のカベなどたいしたことではない。

 人口減なんて重大問題じゃない。自分たちとは違うものを排斥したがる閉鎖的な精神構造、これこそが日本における深刻な大問題なのだ。