人類共通課題

 気候変動に関して地球温暖化が世界の趨勢だが、もちろん異論を唱える人たちもいて、その代表が「地球氷河期説」。すなわち、現在地球は氷河期の時代に入ったから地球は温暖化しないと訴える。

 しかし、この「氷河期に入ったから…」という主張は、冷静に科学的に考えると何だかおかしい。なぜなら、46億年の地球史において氷河期は何度も繰り返されたが、それこそ何千年、何万年、何十万年、何百万年…と、人間の感覚からは信じられない程ゆっくり起こる現象であり、たった数百年で氷河期になるわけでは決してない。

 対して温暖化により僅か数百年で海面温度が1℃〜2℃上昇している。これは産業革命以降、人類が人為的に地球を温めて来た証拠であり、たとえ地球氷河期説が正しくとも、温暖化のスピードを阻止することなどできない。私たちはもっと科学的に考察しなければ。

 さらに、地球温暖化を認めない人の中には、二酸化炭素の効果を否定したがる人もいて、二酸化炭素は地球を温暖化させたりしない、とまで言う。しかし、これは明らかに間違いだ。

 例えば、金星の表面はなぜあんなに高温なのか。金星は厚い雲に覆われ太陽の光を遮断してるからむしろ寒くなるはずだが、そうならないのは大気の95%以上が二酸化炭素だからで、温室化で金星の大気中温度は450℃以上にもなる。二酸化炭素だけが原因ではないが、人類が大量に排出させた二酸化炭素で地球が温暖化してるのは確かだろう。

 ところで1980年代、冷蔵庫などで使用されてたフロンガスが地球の生態系を保護するオゾン層を破壊(オゾンホール)することが分かり、世界中で大変な問題を抱えた。その後、オゾン層に優しい代替フロンが次々と開発され、今現在、オゾンホールは縮小に向かっているという。これはつまり、人類は互いに協力し合えば危機は乗り越えられるという証明である。

 今現在、温暖化阻止と核(兵器も原発も)廃絶が、人類にとり目の前の一番大きな共通課題だ。オゾン層が回復しつつあるように、人類の知恵からこれらの危機を克服しなければ、とつくづく思う。