魅力的になりたいけど

 芸術家などでは若い頃に製作したものはどうしても荒削りで未熟、完成度から言えば褒められることはまずない。しかし一方、そんな粗野で未完成な作品だからこそ独自の魅力を放つ。

 「大家」と呼ばれるようになってからの作品がつまらなく、むしろ無名時代の作品に惹かれるのはなぜか? 作品が内包する不安定でぎこちなさ、それらに誰もが自分を投影し共感するからだ。

 どんな人間も生きてる限り「人生を表現してる」という意味では同じ。成長して非の打ち所がない立派な大人より、いつまで経っても失敗ばかりで恥をかきまくる出来損ないの大人の方が人間味があり遥かに魅力的だ。

 何事も順風満帆に進むはずがなく、人は大なり小なり必ずトラブルに巻き込まれる。生死には直接関係ないし、側から見ると他愛ないことでも、本人には重大で深刻な場合になることはいくらでも生じる。

 例えば、今現在、大勢の人々がもっとも多く右往左往させられるのは、おそらくコンピューター関連のトラブルだろう。会社で自宅で、昨日まで問題なく動作してたハードやソフトが、今日突然フリーズしたり、ファイルが消えた、なんてことはザラにある。

 私もその一人。IT機器のトラブルで何度も生活のリズムを狂わされた。そんな時イライラして瞬間絶望的にさえなるが、問題はそんな事態をどう捉えられるかで人生が問われる。損したと嘆くか、それとも勉強したと思えるか。後者でありたいが…。

 さて、普段からやりたい事がたくさんあるのに、つい最近、町内会の仕事をいくらか抱え込んだ。簡単な文書作成で大したことないと思っていたのだが、パソコンを触ってるうち、誤って過去の大切なファイルを消してしまう。なんてこった! 再び一から作り直し。

 余計な作業を増やし、昔から貴重な時間を食い潰してばかり。オレは失敗だらけで狼狽えてばかりの不完全な、しかし魅力的な人間なのか? それともマヌケでみっともない、単なるバカなのか?