充満する現状維持

 7月4日に参議院選挙が告示され、投票日は21日に決まった。選挙結果はどうなるか。しかし、結果以上に私は投票率の方が気になる。

 直近のアンケートでは「必ず選挙に行く」と「選挙に行くつもり」、この両者の割合が前回に比べかなり下がっているという。ひょっとして投票率は過去最低を更新するかもしれず、そうなれば与党が大勝する可能性大ということ。

 自民党公明党の連立政権はデタラメで酷いの一言だが、一方で各野党も人々を惹きつける魅力に欠けるため、結局誰がやっても同じと思われてしまう。有権者は益々政治に無関心となり、それがより深刻な問題として社会に蔓延することになる。

 テレビやインターネットを通してマインドコントロールされ、月に本を一冊も読まず、ただ流されるだけの日々を送る人々。そんな彼ら彼女たちに少しでも政治に関心を抱いてもらにはどうすればいいのか。様々な未来社会の姿を提示し、政治に参加しやすい雰囲気作りをどうすべきか、それが日本における最大の課題のひとつかもしれない。

 人間は元々保身的だから、たとえ貧乏で毎日の生活が苦しくとも、それがしばらく続き慣れてしまうとなぜか安定した気分にはまり、もうそれだけで周囲の環境の変化を嫌うようになる。自ら変わろうとすることが億劫となり、だからなんとか極力現状維持を図ろうとするのだ。

 ところがその現状とは川の流れのようなもので、じつは刻一刻と辺りは変化してるにもかかわらず、人々はその流れに全く気づかず、周囲は湖面ではないかと思い込んでしまっているかのようである。現状は常に変化するが、人々は現状維持とは変化しないことだと勘違いしてしまうのだ。 

 流れに身を任せれば、流されてることすら気づかない。みんな楽をしたいから、操られるまま、統制されるままになる。北朝鮮朝鮮民主主義人民共和国)の状況は決して特殊ではなく、正に私たちの周囲に充満している。こうして現状維持が続くことで、日本の近未来は中国や北朝鮮のような独裁的統制社会になってゆく。