豪雨と処刑

 西日本を中心とした豪雨で被害が拡大し、ネットの報道(東京新聞)によると、今日夕刻の時点で死者が112人及び安否不明が83人。これはもう尋常じゃない大災害、今後も犠牲者の数は増えるかもしれない。

 岡山の倉敷では広範囲に渡り水位が屋根まで上昇、その光景をテレビ映像やネット・新聞の写真で見たが、ほんとに凄まじい(東日本大震災津波をどうしても連想する)。毎年繰り返される台風や大雨による大災害、そして毎年更新される観測史上最大の降水量。「数十年に一度の豪雨」という気象庁の発表だが、「毎年起こりうる想像を絶する豪雨」に変えた方がいい。
 
  私にとって倉敷は、国内では旅行したいと思うだけでなく住んでみたい町のひとつだったが、しかしこの災害でイメージが変わりそう。災害の少ない岡山県だが、日本列島全体が分け隔てなく災害列島であることを再認識。

 そんな西日本各地で大雨警報が出る最中、オウム真理教事件で死刑判決を受けていた教団元代表麻原彰晃松本智津夫)、並びに他の幹部等計7人に対し死刑が突然執行される。この大量処刑には驚いたが、同時にこれで良いのか…という疑念が湧いた。

  推理小説などミステリーでは意外な犯人もさることながら、なんと言っても事件を起こした動機こそが謎解きの核となる。動機が解明されずに意外な犯人だけのミステリーは消化不良、オウム真理教の主犯たちを死刑執行したことで事件の謎は永遠に解けなくなった。

 死刑執行を圧倒的に支持する世間の動向は不気味、厳罰を煽りつつ被害者に寄り添いたがる姿勢は典型的な偽善に見える。表層だけをみて感情的にならぬよう、被害者でも加害者でもない第三者は冷静になり、そして突き詰めて考えねば。それをしないと一人ひとりの心の奥底に潜む内なる麻原彰晃が肥大しかねない。

 それにしても麻原彰晃に忖度して凶悪な事件を起こしたオウム真理教、そして安倍晋三に忖度して嘘を拡散しながら格差と差別を煽る自公政権、両者はとても似ている。日本社会全体がカルト化してるのじゃないか。