これで良いわけがない

  W杯一次リーグで日本は辛くも決勝トーナメント進出が決まった。6月28日夜の日本対ポーランドの試合、0 − 1で日本は負けたが、勝ち点と得失点で並んだ日本とセネガルは警告数の規定で日本が上回った。つまり、イエローカード4枚の日本とそれが6枚のセネガルの差が出たわけだ。

 結果だけ見れば日本が16強に残れたので嬉しいかもしれないが、それにしても日本の試合はとても褒められたものではなかった。決勝トーナメント進出のため、終盤は時間稼ぎのパス回しを繰り返すだけ、負けてるにも関わらず、まったく攻撃せず試合は停滞し、試合会場からは日本非難の大ブーイングが当然のごとく沸き起こる。

 フェアプレーの規定、すなわちイエローカードが少なかったとはいえ、日本のズルい試合運びを見ながら、いったい日本のどこがフェアプレーなのかと思ってしまう。フィールド外の策略で試合が決定するサッカーなど真のサッカーファンなら見たくないはず。

  翌日のインターネットや新聞を見る限り、日本対ポーランドの試合で、日本の取った時間稼ぎの戦術を「度胸がある」「勝負師」「理解できる」等々肯定的に評価する意見が多く、これらの風潮には本当にガッカリさせられた。日本が決勝トーナメント進出を決めた瞬間、全国各地で若者たちが喜んで大騒ぎしたようだが、これもつくづく情けない。

  かつての高校野球松井秀喜選手への5打席連続敬遠や今年の日大アメフト部の違法タックル、今回サッカー日本代表の戦術はそれらと延長線上にあり、低次元レベルで非常に気分が悪い。勝ち進むためとはいえスタンドの観客だけでなく、全世界のサッカーファンを無視してスポーツ文化を貶めた。

 フェアープレーの結果で日本とセネガルの明暗がハッキリしたわけだが、サッカーで遅延行為があれば即イエローカードが出るではないか。日本代表が選択した勝ち進むための戦術は個人の選手が犯した遅延行為以上の、チーム全体が犯した遅延行為そのもの、これだけでイエローカード2枚以上、即レッドカードだ。

 どんな状況にあろうと試合中の消極的姿勢には即警告、わざとらしい試合を極力させないための新たなルールを設けるべき。 今大会から VARを導入したように、観客や視聴者が納得する試合運営をFIFAはさらに取り組むべきである。