まともな精神

 今年の日本シリーズソフトバンクDeNA、正式には福岡ソフトバンクホークス対横浜DeNAベイスターズ。長たらしい、福岡対横浜、あるいはホークス対ベイスターズで十分。ともかく初顔合わせは新鮮で、連日熱戦が繰り広げられ面白かった。

 結果は4勝2敗でホークスが優勝、これでパ・リーグは5連覇。パ・リーグは過去4連覇したことは3度あるが、5連覇は初。今世紀に入ってからパ・リーグは12勝5敗、パ・リーグの強さが際立つ。

 最近は野球もサッカーもほとんど見ないし、スポーツ全体に興味は失せたが、この季節になるとなぜか日本シリーズだけは見る。元々巨人が嫌いで、長いあいだ虐げられつづけてきたパ・リーグを応援していたせいもあり、心情的にパ・リーグに肩入れしたまま、つい見てしまうのかもしれない。

 かつて1960年代から70年代にかけ巨人が9連覇した時、「巨人・大鵬・卵焼き」が流行語になった。しかし、私にとって巨人や大鵬など常に勝ちつづける存在はまったく面白くなく、私にとって内心は「阪急・佐田の山・もやし炒め」だったのだ。

 オリンピック大会でも米国のように金メダルを数多く取る国が嫌いな私は、皆から好かれたり、いつも光が当てられる存在よりも、弱くて無視されつづける存在にシンパシーを感じていた。それは今現在もまったく変わらない。

 私は若い頃から主流に対して非主流、相当なひねくれ者で、周りから変人と呼ばれたりもしたが、今から振り返れば私は決して変人ではなく、むしろまともな精神の持ち主だったと自負できる。
 
 ところで、昭和の大横綱大鵬は「巨人・大鵬・卵焼き」という流行語が嫌いだったらしい。じつは大鵬アンチ巨人プロ野球チームでは南海ファンだったという。そんな話を大鵬が亡くなり、その直後に国民栄誉賞を授与されたとき私は間接的に耳にして、それ以来、私は大鵬に対する意識が変わり親しみを抱くようになってしまった。