地球上に国境線など無い

 現在、グローバル化に反対し「自国第一主義」や「保護主義」に走りたがる傾向が強くなっているが、これは突然の予期せぬ出来事ではなく、歴史の必然だと感じる。しかしこの必然は目先のことだけを見る「自分勝手主義」であり、いずれ自ら首を絞めて窒息死しかけた時、自身で崩壊するだろう、これもまた必然。

 今は、グローバル化の中身・方向性ついてこそ問うべきで、グローバル化を否定し自己に閉じこもるべきではない。ましてや自国第一のため他国をコントロールすることなど以ての外。グローバル化に賛成か反対かではなく、グローバル化を前提にどんなグローバルな世界にすべきかを議論すべきだ。

 国家の「家」にこだわるかぎり、グローバルの真の意味は理解できまい。国が家になるのではなく、国は「故郷」に比重を置くべきだ。人にはだれでも故郷があり、個性豊かな文化を備えている。線で囲んだ「家」は分断を強調するだけ、故郷に国境など存在しない。

 ところで、ほとんどの世界地図には国境が記載されており、それがないと区別がつかず違いが分からないからだろうが、しかし国境線はいかにも国同士を分断するかのようで、国境線がない世界地図がもっと普及していいと思う。

 言語や宗教、民族や人種など、多様な文化が世界には存在し、そして、それらは互いに混合して複雑な社会を築く。少なくともそれらの違いを明確に線引きすることなど不可能、陸上であろうと海上であろうと、国と国の間には狭い広いの違いはあっても曖昧な領域が歴然と存在する。

 地理の領域では、海、平地、山などを、青や緑や茶の濃淡で区別しているが、これは感覚的に一目で分かりやすい色の表現。地理だけでなく、多種多様な文化の違いも様々な方法で表現できたら面白く、そんなカラフルな世界地図には明快な線引きなど全く不要。宇宙から眺めるなら、実際の地球上に国境線など無いのだから。