手打ち失敗

 期待?された二度目の米朝首脳会談だったが、結果は決裂、どうやら完全に失敗に終わったようだ。「今後も継続」という発言も見られるが、三度目の会談はないかも。 

 米国のトランプ大統領は常に商売(取引)で成果を挙げたいので、朝鮮の金正恩と直接会談できたのも彼の資質のためかもしれず、「人権」を前面に出す他の大統領だったらできなかったかもしれない。人権を無視するトランプと金正恩だからこそ二度も会うことができた。 

 どんな状況下にあろうと敵対する者同士が直接話し合うことは大切。だがしかし、米朝首脳会談には当初から疑念も付きまとった。非核化のためとはいえ朝鮮の体制保障が気になっていたのだ。刑務所国家をわざわざ外から守ってあげるなんておかしくないか? 

 米国と朝鮮、要はこの両者、世界最大の暴力団と東洋の小さなチンピラ集団のようなもの。無益な争いから金を浪費し血を流すのは互いに損、だから条件を出し合い手打ちしようと試みたわけだ。そこに人道的な配慮など欠片も入り込む余地はなかったように見える。 

 ところで、米朝首脳会談の決裂は周辺国にどんな影響を及ぼすか。まず韓国だが、南北民族統一を願う意味からとても残念だったに違いない。逆に、朝鮮半島の現状維持を願う日本の保守右翼陣営はほくそ笑んでいるだろう、中国は米国の対抗意識から会談の失敗にホッとしているかもしれないし、ロシアは成功しても失敗してもどちらでも良かったかも。 

 周辺国にはそれぞれの思惑があるので本音と建前では違う、しかし肝心なことは国家権力の思惑で右往左往されるのではなく、生活に根ざす国境を越えた一人ひとりの人間の立場から判断するということ。 

 朝鮮に限らず、米国も中国もロシアも日本も…自国における権力安泰を最優先する為の外交は間違っており、私たちも権力に操られそんな思考回路に陥ってはダメなのだ。そう考えると、米朝会談の失敗は良し悪しとは別に必然だったような気がする。