5%

 現東京都世田谷区長の保坂展人氏は私の数少ない好きな政治家の一人。彼は保守・右翼が蔓延する現日本社会の中で反旗を翻すかのようによく頑張っていると思う。私と同様彼は高学歴でなく、さらに私と同世代ということもあり応援したくなるのかもしれない。まあしかし、大嫌いな安倍晋三も私と同世代ではあるが…。

 世代云々とは別に、世田谷区長に初当選した直後に保坂氏が目指した方針を私は忘れない。それは区の職員に対して「まず5%変えましょう」と訴えたこと。この「5%」という数字がじつに素晴らしい。

 個人的にも社会的にも改革は常につきまとう。改革せず現状維持に停まれば廃れるだけだが、しかし逆に一気に変えようとしても無理、たとえば20%という数字は負担があまりに大き過ぎる。

 5%程度ならどんな人でも必ずできるかもしれず、負担なく前向きになれる数字である。政治の世界であろうと、身近な生活空間であろうと、何事も変えることは一苦労、「まずは5%」を心に刻みたい。

 日本人は自ら革命を起こした経験がなく、だからいつまで経っても日本はダメ、との言説があるが、確かにそれはその通りだろう。だがしかし、現在、そして未来を考えたとき、革命はあまり説得力はない。

 何事も一気に変化をもたらす革命は、その瞬間だけ効果的だが、持続性を考えたとき必ず混乱が生じ失敗する確率は高く、それは歴史が証明している。狭い領域、例えば交通機関とか通信機器、さらに個人の生活スタイルなら革命は可能、しかし社会全般を短期間でひっくり返すような革命は大いに疑問だ。

 やはり、平和裏に、徐々に変わって行くべきだ。日本に革命の経験はなくとも、変革させることはいくらでも可能、だからこそ「まずは 5%」の精神が大切となる。もちろん、5%で良くなるとは限らず、逆に悪くなるかもしれず、要は「自由」と「平等」の方向性を見失わず5%改革を実行すべきということ。