人生はこれからだ

 冬至から一カ月ほど過ぎて、日中がだいぶ長くなった。しかし今は二十四節気の「大寒」で厳しい寒さがつづく。私は寒さは苦手、早く春になって欲しいが、でも春は埃っぽく花粉症の季節、だから本当は好きじゃない。年間を通し、過ごしやすい時期は限られてるなぁとつくづく思う。

 さて、23日(月)地元新聞の社会面に「孤独死する人、60代が一番多い」という記事が。60代なんてまだまだ若いのに、一体どうしたことだろう。定年後、仕事を離れ何をしていいのか分からないのか? そこに離婚などが重なると、寂しくて耐えられなくなり、生活は乱れ、病気がちになるからか?

 人それぞれ、いろんな人生があるだろうが、今の時代、60代での終末はいくら何でも早過ぎる。私から言わせれば、孤独は寂しいことじゃなく、むしろ喜ばしいこと。自分の好きなことを制約なしにいくらでもできるじゃないか。本当の人生は60代から、少なくとも私はそのつもりでいるが。

 何でもいい、やるべきことは一杯あるはず。例えば、未来社会について考える。一人ひとりが自由で平等、格差や差別がなく、公平な社会を築くためにはどうすればいいのか。そんな世界は不可能だと諦めるのではなく、それを考えるだけでも生きがいになるはずだ。

 世界が一つになるために、自由と平等を実現するために、格差や差別をなくし、公平な社会を築くために、芸術が科学が、何より人生哲学が必要。だから経験を積んだ60過ぎのベテランが、無理に行動しなくても、それについて考えるだけでも十分価値がある。考えるだけなら金もかからない。

 「命を賭ける」と大見得を切らなくてもいい、しかし残りの「人生を賭ける」くらいは心で宣言してもいいかもしれない。自分の好きなことに人生を賭けることは最高の生きがいになるはずだ。