世界を映す鏡

 映画でシリーズ物は日本にも外国にもたくさんあるが、何と言っても「ゴジラ」や「寅さん」が国内ではお馴染みだし、外国ではイギリスの「007」がすぐに思い浮かぶ。アメリカ・ハリウッドでは「スターウォーズ」が有名でとても人気がある。

 昨年公開されたスターウォーズの最新作「フォースの覚醒」。過去の全6作は一応全部観ている私だから、やはりこの第7作を無視するわけにはいかなくなった。そこでAppleiTunesからダウンロードして鑑賞することに。

 決して悪くない、CGの進歩が凄まじくスピード感があり楽しい。けれど、シリーズ全般を通して物足りなさを感じる。それはなぜだろう? 勧善懲悪の二元論だからか? さらに宇宙生物たちの造形が私の趣味に合わないからか。

 映画と大統領選はまったく別物なのに、妙にダブってしまう。あれかこれかどちらかという選択がベースになって、「スターウォーズ」は広大な宇宙を舞台にしてるのに世界観がいかにも狭い。人間の内面への問いかけがまだまだ薄く、その浅はかさを「愛」のベールでいつもカモフラージュする。

 「ロード・オブ・ザ・リング」というファンタジー三部作があったが、私はこの作品を評価している。これも、邪悪で醜い世界と、正義で美しい世界、といった二元論で組み立てられていたが、何と言っても、世界を救う役割を担うのがもっとも弱々しいホビットであるところが素晴らしかった。

 映画とは、現在の世界を映し出す鏡だ。駄作から傑作まで、深読みしようと思えばいくらでもできるし、描ききれない部分にこそ真理・事実が隠れて、それは現実世界の裏側を暗示してるかのようだ。