007シリーズのワクワク感

 007シリーズ第23作「スカイフォール」が英米で公開され大ヒットしてるそうだ。日本では12月1日(土)から公開予定。第1作の「ドクター・ノオ(殺しの番号)」が制作されたのは1962年だから半世紀経過、こんな長期に渡りつづくのはこのシリーズだけ。

 映画ファンの私は007シリーズが好きで、過去すべての作品を劇場で鑑賞、これを観るのはもはや義務化してるようなところがある。中高年の映画ファンには私とよく似たタイプが多いのではなかろうか。

 007シリーズでは新しく制作発表される度に期待が高まる。ところが、いざ公開され鑑賞すると期待に反してガッカリさせられることが多々あるのも事実。正直、過去22作品の中で及第点を付けられるのは数本しかない。まあ、こんなものかなぁ、という作品が大半、中にはあまりに荒唐無稽デタラメと思わざる得ない代物も混じっている。

 私にとって評価が高いのは「ロシアより愛をこめて(危機一発)」と「私を愛したスパイ」、逆に残念だったのは「ゴールドフィンガー」「ダイヤモンドは永遠に」「黄金銃を持つ男」「ムーンレイカー」「ダイ・アナザー・デイ」。個人の好みなので評価は分かれるだろうが、「ロシアより愛をこめて」は傑作として映画史に残ると私は思う。

 ジェームズ・ボンドを演じた俳優はこれまで6人、皆個性的で味わいがあった。初代ショーン・コネリーはゴツイ。二代目ジョージ・レーゼンビーは一作だけなので物足りない。三代目ロジャー・ムーアはユルイ。四代目ティモシー・ダルトンはとげとげしい。五代目ピアース・ブロスナンはちょっと柔。六代目ダニエル・クレイグはやんちゃ坊主。以上、それぞれの印象だが、私には五代目ピアース・ブロスナンが一番ジェームズ・ボンドのイメージに合致していた。

 じつは作品を鑑賞する前のワクワク感はとても重要で、007シリーズはそれを保持しているからこそ人気が高いのだと思う。ワクワク感が喪失したらもはや映画ではない。急に政治談義になり恐縮だが、現在の政治状況にワクワク感が欠けているから、支持政党ナシが多数を占め、棄権が増えて投票率が伸びないのだ。特に、リベラル・革新陣営にワクワク感が抱けない現状は残念でならない。

 前作「慰めの報酬」にはちょっとガッカリしたので、今度の「スカイフォール」には期待が大きい。鑑賞が楽しみでワクワクしている。