ゴジラ対コロナウイルス

 世界で新型コロナウイルスの猛威が止まらない。ついこの間、感染者が1000万人を超えたとの報道があったばかり。今週に入った途端それは1400万人を突破し、併せて死亡者も50万人から60万人以上へと増加した。日本でも首都圏を中心に感染が急拡大、全国へ再波及しつつある。

 ところで、日本では1960年代から70年代にかけ、高度経済成長の負の遺産である公害問題が顕在化。当時、それを端的に表現した言葉が「ヘドロ」で海や河川を汚染していた。その言葉を聞いたたけで人々は顔を顰めたものだ。

 シリーズ化された人気怪獣ゴジラの作品群には、1971年にヘドロが巨大怪獣に変身しヘドラとなリ「ゴジラ対ヘドラ」という映画まである。この作品の出来は最低最悪だが、当時の社会状況下に問題提起した意義は決して小さくない。ひょっとして「ゴジラコロナウイルス」が今後製作されるかも。

 新型コロナの感染者数や死亡者数でダントツの米国だが、商魂逞しいハリウッドは当然のごとく、これに関する映画化を既にいろいろ考えているだろう。シリアスな人間ドラマから、残酷極まるホラーサスペンスまで。日本と違って米国では収束しないうちから製作される可能性は大きい。

 日本のゴジラシリーズは、1954年の第一作が原水爆をテーマに社会派の側面が強かったが、その後エンターテイメント路線に走り1964年の「三大怪獣・地球最大の決戦」で頂点を迎える。その後は映画人口の減少と共に、低予算の条件下でどんどん低俗化し幼児・子供向けに変貌、毎年のように製作されたゴジラシリーズも一旦中止する。

 1980年代にゴジラは復活、2000年代まで製作されるが、各々の作品の出来としては1990年代の「平成ガメラシリーズ三部作」に遠く及ばなかった。しかし、2016年に公開された「シン・ゴジラ」には唸った。大規模災害(東電福島第一原発事故)を想定した群像劇はお見事。

 「シン・ゴジラ」のような優れた作品が作れるんだから、新型コロナが巨大怪獣化して暴れる空想科学映画が誕生しても全然不思議じゃないし、むしろ期待したくなる。題名はともかく、リアルで迫力あるゴジラの死闘を観たい。ゴジラよ、どうか人類を救ってくれ。