牛丼の思い出

 先日、金沢駅構内で牛丼の「吉野家」を見つけ、懐かしさのあまり久しぶりに食べてみた。東京で暮らしていたとき以来だから、およそ8年ぶり。

 長く暮らした東京で思い出の食べ物といえば、何と言っても大勝軒のつけ麺、そして吉野家の牛丼である。東京の地に足を踏み入れ、最初に口にしたのが吉野家の牛丼だった。

 初めて牛丼を見たときは驚いたよ。なぜならご飯の上に牛肉と玉ねぎしかなかったから。それまで肉物の丼とは親子丼のイメージが強過ぎて、卵とじと一緒という先入観があり、だから私にとって牛肉の丼物とは他人丼(卵と牛肉だから他人)だったわけである。

 東京の生活にも馴染んでくると、牛丼とはすなわち吉野家の牛丼とイコールになり、多くの客が同じことをするように、牛肉の上に赤い生姜をたっぶり乗せ、七味唐辛子を掛け味付けして食べる。

 金沢駅構内の吉野家、東京と同じだったので嬉しかったな。当たり前だよね、東京と金沢で違ってたらダメでしょ。懐かしい吉野家の牛丼の味が蘇り、また食べたくなった。

 「松屋」とか「すき家」とかあるが、「吉野家」の牛丼が一番美味い。また吉野家のいいところは券売機を設置していないこと。入り口に券売機がある店はデジタルっぽくて何だかイヤだ。