北陸新幹線?

 お盆とお正月だけじゃなく、誕生日やいろんなお祭りまでが一緒くたになったような、いや、それ以上の大騒ぎになったのが14(土)と15(日)の両日、北陸新幹線開業による金沢駅周辺の活況だった。

 お祭り騒ぎがあまり好きじゃない私でもさすがに関心はあったので、午前中ではなく多少は落ち着くだろうと思った14日(土)の夕刻時に金沢駅まで見学しに足を運んだが、想像以上のあまりの人混みにビックリしてしまった。

 こんなに多くの人混みにまみれたのは久しぶり。これまで私が体験した「三大混雑」に入れてもいいと思ったくらい。ひとつは大阪で開かれた「日本万国博覧会」、ふたつ目は「大晦日の東京上野アメヤ横丁」、そして北陸新幹線開業日の金沢駅構内(笑)。

 ローカルニュースだけでなく、全国的にも大々的に報道されたことから北陸新幹線と石川県が一気に注目されたようで、これは地元で暮らす人間にとって悪い気はしないし、暗いニュースがつづくご時世、表向き瞬間的には明るいニュースのひとつになったに違いない。

 だがしかし、浮かれてばかりはいられない。北陸に新幹線といっても東海道や山陽が開通した頃とは時代がまるで違う。少子高齢化で人口減少、格差拡大で非正規社員が全就労者の40%近く、賃上げは一部の大企業だけ。いったいどれだけの人が新幹線の恩恵を受けられるというのか。

 何度も新幹線に乗車できて、いろんな場所へ観光に出かけられる人が果たしてどれだけいるだろう。そりゃ仕事で仕方なく、あるいは冠婚葬祭で利用するしかない場合も起こりうるから、誰でも一度や二度は新幹線には乗るだろうけど…。観光シーズンから外れた平日の乗車率が判断基準になる。くれぐれも空気を運ぶだけの新幹線になりませんように。

 それにしても地元の北國新聞には呆れる。完全に北陸新幹線の広告・宣伝新聞に堕して提灯記事で埋め尽くす。北國新聞はもはや新聞とは言えず、単なる情報紙で全ページがチラシになってしまった。