堕落のオリンピック

 今現在、地理的に日本からは正反対ブラジルのリオデジャネイロでオリンピックが開催されている。私はオリンピックにほとんど興味を抱かず日々を過ごしているが、とはいえ、それの報道は嫌でも目や耳に入ってくるので、無視したくても無視できない。

 日本選手が予想以上の活躍で、各種目で連日メダルラッシュ、それはそれで喜ばしいのかもしれないが、どうしても違和感を抱く。スポーツは勝負事だから、結果を重要視したい気持ちは分かるが、金、銀、銅のメダルばかり前面に出過ぎだ。

 結果とそれに伴う勝者の感動物語だけでなく、それら以外の、国際的な人々の交流や社会状況をもっと報道してほしい。勝った負けたは氷山の一角、表に出てこない部分にもっと光を当てるべきでしょう。

 実際、ブラジル国民の50%が今現在も開催に反対していること、そして会場周辺と市街地とが高いフェンスで隔てられていること、さらに、オリンピック終了後ブラジル経済はどうなるのか…それらがメディアからはほとんど伝わらないのは残念だ。

 この二週間あまり、オリンピックの試合結果報道ばかりで埋め尽くされるのはウンザリする。せっかくだから、オリンピック開催前と閉会後で状況はどう変化するか徹底検証しなければ。オリンピックは「平和の祭典」から「格差推進の祭典」へ驀進中、このままでは4年後の東京オリンピックが本当に心配である。

 それにしても「国を背負う」とか「国のため」と口にしたがる選手たち、それを聞くたび息苦しくなる。商業主義やドーピングなど問題だらけのオリンピックだが、国家の重圧こそがオリンピックを堕落させた一番の原因かもしれず、スポーツは個人とチームが主役、国家は消え去るべきだ。