オリンピック再考

 私は2020年の夏季東京オリンピックに反対だが、オリンピックそのものに反対というわけではない。公平なスポーツの祭典としてオリンピックが世界平和に貢献してほしいと願っている。だがしかし、現状のオリンピックは不平等でイビツなスポーツ大会に堕落しており、徹底的に批判されなければならないと思う。

 オリンピックのお金や地域格差の問題は深刻だが、それとは別に競技だけを見ても首を傾げたくなる。なにより夏と冬、両大会のバランスの悪さが目立つ。夏のオリンピックは競技が多すぎて種目が消化しきれない感があり、逆に冬のオリンピックは競技が少なく無理やり種目を水増しさせているかのようだ。

 夏季大会の競技のいくつかを冬季大会に移行する案が出ている。室内競技なら夏でも冬でも構わないのだから、柔道とかバドミントンとか自転車のトラック競技を冬のオリンピックに移したらどうかということらしい。これに対し、IOC中枢は考慮せず現状維持を貫く姿勢だが、私は競技の移行は前向きに検討すべきだと考える。

 「雪と氷の祭典」と謳われる冬季オリンピック。しかし雪と氷にこだわるかぎり開催都市や参加国・地域はどうしても限定されイビツになる。ところで、サッカーやラグビー、マラソンなどは基本的に冬のスポーツであり、夏のイメージからは遠い。これら冬に盛んな競技や室内中心の競技は、この際思い切って冬季オリンピックに移行させたらどうだろう。

 ロシアのソチで開催された冬季オリンピックは山側と海側に分けられ、海側には雪がまったく見あたらなかったことは記憶に新しい。雪や氷にこだわる必要はないのだ。バレーやバスケットや卓球といった球技、そしてレスリングやボクシングや柔道などの格闘技、それらは室内競技なのだから冬に開催されても全然おかしくない。

 室内競技が冬に移行すれば、少なくともアフリカや東南アジアや中南米の多くの国々も冬季オリンピックに参加しやすくなるだろうから、オリンピック全体としてバランスは良くなる。夏と冬のオリンピック競技種目は再考すべきだ。

 ついでだが、サッカーやラグビーや野球、そしてゴルフやテニスなど、大規模な世界大会を別に擁する競技はオリンピックから除外した方がいい。