東京オリンピック反対

 「東京オリンピック反対」と訴えたところで今さらどうしようもないと思われるだろうが、それにしても計画案を知れば知るほど大きな声で「反対!」と叫びたくなる。

 従来の国立競技場を解体し、新たに高さ70メートルの8万人収容可能な巨大施設が建設されると、東京でも緑豊かな明治神宮外苑の環境は破壊される。採用された新国立競技場のデザインからすでに多くの人がイメージを抱くだろうが、少なくとも私にとって流線型のヘルメットのような屋根付きスタジアムは異様でじつに醜い。

 明治神宮外苑だけでなく、有明やお台場などの周辺もたった一ヶ月ほどのオリンピック・パラリンピックのためにひっくり返る。

 大会運営費は3000億円を見積もり、東京都は4000億円ほど準備するという。だが、新国立競技場だけで当初予算1300億円から3000億円へと一気に膨らみ、これではあまりに膨大すぎるというので1700億円ほどに絞り込まれるそうだ。しかしおそらく計画通りには行くまい。

 祭典の予算はオーバーするに決まっている。全体でどこまで膨らむのか、さすがにこれでは大変というわけで舛添東京都知事は見直しを決定したそうだ。都知事の力がどこまで発揮されるか分からないが、今からでも遅くない、オリンピックは返上するのが一番ではないか。

 ところでサッカーワールドカップがいよいよ始まるが、開催国ブラジルでは直前になっても4割以上の国民が反対らしく、各地でデモやストが頻発している。予算を「ワールドカップよりも医療や教育へ」という庶民の訴えはじつに真っ当で、大会中もブラジル国内は混乱するだろう。

 オリンピック開催で東京はズタズタになる。都民はこのまま黙っているつもりなのか。まだ時間はタップリ残されているのだから、東京都民もブラジル国民を見習い、格差是正のため大規模なデモやストを長期間に渡り決行したらいい。

 東京に長く暮らしてお世話になった私だが、今現在は東京を離れてつくづく良かったと思っている。