東京は落選する

 2020年夏季五輪の開催地がいよいよ9月7日(現地時間)に国際オリンピック委員会IOC)総会(ブエノスアイレス)で決まる。週刊誌やネットでは「東京確実」と浮かれた報道を目にするが、それらはアベノミクスに幻惑された願望に過ぎず、世間の期待に反して東京は落選するだろう。

 イスタンブールの反政府デモ、マドリードの悪化する経済事情、両都市に比べ治安も良く経済も上向きな東京こそが開催都市に相応しいと喧伝される。しかし、まったく逆に作用すると思う。

 東京では公然とヘイトスピーチデモが行われ、特定の民族や人種を対象に、聞くに耐えない、なんともおぞましい排外主義的言論が飛び交う。一方、イスタンブールのデモは民主主義を求めている。方向性も性質もまるで正反対の東京とイスタンブールのデモ。その映像はYouTubeなどで全世界に配信され、これを見るだけでもIOC委員が普通の感覚の持ち主なら、東京とイスタンブール、どちらがオリンピックの理念に合致した都市であるかハッキリ分かるというもの。

 東京の近郊で起きた福島第一原発事故も選考に影響しないわけがない。事故から2年半、タンクから大量の汚染水漏れで高度の放射能が海に放出しつづける。海への放射能拡散はレベル3並の新たな原発事故と見なされても仕方なく、原発事故は収束するどころか悪化しているのが実態なのだ。

 アベノミクスはヨーロッパや北米では大きな疑問符? が付き、安倍や麻生のナチスヒトラー並みの右翼路線に各委員が好感を抱くはずがない。また、2018年冬季五輪は韓国の平昌(ピョンチャン)なので、2年後にすぐ隣の日本で夏季五輪というのも各委員には抵抗があるだろう。

 意外にもマドリードが選出されるかも。スペイン経済を立て直すためにとヨーロッパの多くのIOC委員が裏工作することも十分考えられる。私の予想は外れ、東京が選ばれることもありえるが、そのときはIOC委員に見る目がないということで嗤うしかない。レベルが低いオリンピックの現状が証明されるだけだ。

 それにしても「平和の祭典」に、なぜこれほどあくせくするのだろう。勝敗にこだわるのはグラウンドやフィールド内だけで十分なはず。競技場の外側で、譲り合いや助け合いの精神をなぜ発揮できないのか。東京は辞退して他の都市を率先して推薦すべきであり、操り人形と化し利用される一流?選手たちが哀れでならない。