イビツな社会

 今年のドッチラケ大賞は「2020年度夏季オリンピック東京開催」に決定。予想は外れ、ガックリというか脱力感に私は浸っている。(予想が外れること事態、ある程度は予想していたが)

 これからの7年、さらにその先何年もの間、ただでさえイビツな日本社会がその度合をもっと深めそうだ。原発事故により福島の多くの人々がすでに棄民扱いされてきたが、東京オリンピック開催のお祭り騒ぎの陰に隠され、これからヘタをすれば忘れ去られ兼ねない。原発事故で被害を受けた人々だけでなく、東京一極集中が加速して地方の至る所が疲弊、中央との格差はさらに拡大するだろう。

 私の地元金沢では、1年半後2015年3月の「北陸新幹線開業」に浮かれている。しかし、中央から大勢の観光客誘致のはずが、東京オリンピック開催決定により逆ストロー現象が発生、金沢の人材が東京へ一方的に吸い寄せられるかもしれず、そうなると金沢の地盤沈下が進む。

 極端な話、東京だけが繁栄、地方都市の多くが米国デトロイト市のように経営破綻してゴーストタウン化する。(現在は、高度経済成長期とは違うのだ!)

 地域間格差に終わらず、世代間格差の方がより深刻になりそうだ。東京がいくら繁栄しても、税金による公共事業の負担は増加し、少子高齢化の下、若年層の未来図が描けない。消費税で税収を図りたいらしいが、輸出産業は消費税を免れ、消費税相当額が還付されるというのだから効果などまったく期待できず、消費税はとんでもない不公平税なのだ。

 振り返れば、民主主義を求めて反政府デモを実行したイスタンブールの若者たちは、じつに健全だった。オリンピックなど招致したら差別構造が温存されてしまうことを彼らは知っていたに違いない。それに比べ、オリンピック拒絶の反政府デモを起こそうともしない東京の若者たちよ、情けないではないか(小規模の反対集会はあったらしいが)。

 オリンピック招致の予想が外れたように、私の予想など外れてほしい…。だが、暗い将来像ばかりが目に浮かぶ。

 たかが2週間ほどのオリンピックのため、これからしばらくバカ騒ぎがつづくのかと思うとゲンナリするが、それにしても2020年まで東京や福島で大災害が発生しない保障がどこにあるというのか。東京オリンピック中止の可能性はかなり高く、そうなると日本は世界中に大恥を晒すことになる。