英会話ブーム?

 今に始まったわけではないが、英語学習がブームだ。中でも特に、新聞や雑誌、そしてネットなどで英会話を薦めるコマーシャルがやけに目立つ。

 ちょっと勉強すれば誰でもすぐに英語が話せるかのようなコマーシャルの数々は、まるでマインドコントロールではないか。スピードラーニングの謳い文句からは、ただ聴くだけで短期間に英語がベラベラになれそうだ。

 聴くだけで英語が堪能になるなんて、そんなことはまずありえない。高額な教材を売らんがための宣伝にダマされないようにしよう。スピードラーニングのような教材は初心者が手をつけるべきではなく、ある程度英語の理解が進んだ中級者向けだ。

 外国語を学習することがどんなに重要であるかは誰もが認める。英語一辺倒に傾く日本の風潮は大きな問題だが、それは別として、ともかく英語に限らず、外国語がひとつでもできることはできないよりは遥かに素晴らしいことであるのは間違いない。

 ただし、映画字幕翻訳家の戸田奈津子さんが語っているように、まずは日本語が水準以上でなければきちんとした翻訳などできるわけがなく、外国語を学ぶ者にとってもっとも大切なのは自分の国の言葉をしっかり把握することだろう。

 脳、心臓、生殖器、手足…身体のどれもが人間にとってなくてはならないが、それらの大本に位置するのが胃袋だ。胃袋がある程度満たされないと他の器官も働きようがないように、数学、理科、社会、外国語…主要科目はいろいろあるが、基礎になるべきはなんといっても国語。国語は基礎中の基礎だ。国語さえしっかり勉強しておけば、なんとかなる。

 日本語が話せても、日本語の読み書きができないようでは日本ではまともに生きられない。同じことは外国語にもソックリ当てはまり、いくら英語が話せても、英語の読み書きができなければあまり役立たないはず。英語の勉強をしたければ、まずは日本語の勉強をしなければ…。

 ところで、小学校から英語を学ばせたがる日本の教育は大丈夫なのか? もし、国語がおろそかになるような外国語教育だとしたらほとんど意味はない、それどころか害悪だ。