自分への訓戒

 何かを表現するのは素晴らしいこと。とはいえ、どんな分野でもそう簡単に表現できはしない。例えば「詩を書く」とは単に言葉を連ね、行分けすればいいというわけではなく、それ以前に散文が問われるのだ。すなわち文章力のない人が、安易に詩らしきものを書いても、それは単なる落書きの範疇に留まる。

 同様に、外国語を学ぶときも重要なことを忘れないように。日本で生まれ育ち、日本の慣習に染まってる日本人が、異文化の外国語を学ぶことは相当困難なはず。そんな日本人が自国にいながら国語力が不十分だとしたら、すなわち日本語も十分できない日本人が外国語などできるわけがない。

 詩を書きたければ文章力を身に付けなければならないし、外国語を理解したければ、まずは日本語がある程度上手くならなければ。ただ、それらをハッキリ線引きする必要はなく、完璧な散文を書ける人などいないし、日本人でも完全に日本語を習得してる人などいないから、基礎(文章力や日本語)を固めつつ、応用(詩や外国語)を学べばいい。

 上記のことを踏まえながら、自分への訓戒としてつくづく思うことがある。じつは私は最近インフルエンザワクチンを数十年ぶりに注射した。(注射に限らず、錠剤でも粉末でも薬と名の付く代物は、私はこれまで何十年も体内に注入したり口にしたことがなく、それが私の数少ない自慢のひとつ。)

 しかし、冷静に判断したい。インフルエンザワクチンを注射したからといって、インフルエンザに罹らなくなるわけではなく、それはせいぜい50~60%の確率で予防できるだけ。薬や注射はあくまで予防のため、それで病気が完治したり、完全な防波堤になるわけではないということを。

 多くのお年寄りが何種類もの薬を抱えてる光景をときどき目にするが、薬に頼りそれに高額な費用を充てざるをえない日々を私は過ごしたくない。新鮮な野菜や魚や果物を摂取すること、そして適度に運動をすること、それら日毎の生活習慣と鍛錬こそが最善の薬となり、同時に免疫力を高めてくれる、そのことを自覚したい。

 表現すること、学習すること、健康を維持すること、一見密な繋がりはないようだが、目先のことに飛びつく前に土台がしっかりしてるかどうかの確認が肝心ということが分かってくる。