今年の極私的ベスト5

 今年も残すところ僅かになった。この一年を振り返り、自分の直近で見たり聞いたり体験した、特に印象に残ったことを五つほど列挙する。

1. マンガ『ナニワ金融道
 この有名なマンガを今年初めて読む。1990年代の消費者金融問題がピークになった時期に大ブレイクした作品だが、今現在読んでも十分に面白く、説得力がある。これはインターネット上で1日30分限定(無料)だったが全巻読了。作者の青木雄二氏は政治的には徹底して反自民を貫いた人。2003年に58歳で没。まだ若かったのに残念。

2. 映画『アクト・オブ・キリング
 1965年インドネシアで右派勢力による「共産党員狩り」と称して100万人規模の虐殺事件があった。この作品は、殺人に積極的に加担した当事者を追ったドキュメンタリーだが、ある意味、映画を超えた映画だ。どんなオカルト・ホラーよりも恐ろしい。チャップリンの『独裁者』に出てくる有名なセリフ「一人を殺せば殺人者だが、100万人殺せば英雄だ」が蘇る。善とは? 悪とは? 人間とは?

3. 青大将
 今年の6月〜7月にかけて、近くの河川敷を散歩しているとき、なんと三回も大きな青大将と遭遇。草むらからニョロニョロ這い出てきて、私の足元へ。ちょっとビックリしたが、私のことを随分気に入ってくれたらしく、すっかり青大将に親しみを感じてしまった。8月に入り雨が多く冷夏になったせいか、その後見かけることはなかった。来年の夏にまた再会したい。

4. 雨合羽
 当然のように、雨の日は傘を差していた。しかし冬になり吹雪の日などは傘を差してもあまり意味がない。家に傘は何本もあるが、どれもみな骨が折れている。そこで初めて雨合羽上下を購入して着てみたが、これがじつにいい。雨の日も雪の日も、傘がなくても平気。悪天候も外に出るのが楽しくなる。雨合羽がこんなに素敵だとは思わなかった。

5.卵酒
 12月に入ってから風邪を引く。風邪を引いたらこれまでは熱燗で身体を温め、それから寝ていたのだが、今回生まれて初めて卵酒にして飲んでみる。こんなに美味しいとは思わなかったな。一杯のつもりが二杯になり、クセになりそう。風邪を引いてなくても嗜みたい。

 以上。あまりに極私的な5項目で、他人からは失笑されそうだが、それにしても自分にはまだまだ知らない未体験が多いということを実感する。