身体は正直だ

 地元の天気予報担当者が言うには、今年8月の金沢の雨量は例年の4倍近くもあったとか。雨量が多かったのはもちろん金沢だけでなく全国的な現象で、特に広島市の集中豪雨による土砂災害は悲惨極まりなかった。

 就寝中に突然土石流に巻き込まれ命を落とすなんて、地震や台風や竜巻などの天災や、原発事故から自動車追突のような人災においても、次の瞬間どうなるか分からず、不条理が世界を支配しているかのようで、まったくやりきれない。

 こうして毎日を生きていられるのは、ただ単に運が良いだけかも。生と死の境には、善悪を超えた透明で薄っぺらな無常の幕が垂れ下がっているかのようだ。

 ただボ〜としつつ命のありがたみを実感しながら、ふと我に返ると今日は水分を全然摂っていないことに気づく。気温が下がり日中の最高でも28℃、夜に入って部屋の中は26℃前後。ちょっと暑いとノドが渇いて水分補給ばかりしていたのに、2〜3℃下がっただけでこんなに変わるとは。

 身体って正直だなぁ、とつくづく思う。食事時以外に水分はほとんど摂っていないのに、なぜかトイレに行く回数が多いのはどうしたことか。冷え込んだので身体が自然に体調管理してくれているのだろう。

 おしっこをする度に人間の身体ってうまくできていると感心するが、人間社会に目を転じると、複雑怪奇な仕組みに不条理が混在し、これが本当の姿なのかと疑わしくなってくる。

 歯車の回転が微妙に狂い始め、歯車同士がうまく噛み合なくなり、いつの間にか別方向に大きくずれてしまったのが現代社会じゃないだろうか、身体は正直になろうともがいているとき、現実がどんどん身体から乖離し、遠ざかる両者の距離に比例するかのよう事故や災害が多発しているような気がしてならない。