やけにモヤモヤする

 安倍晋三元首相が背後から撃たれ死亡した8日(金)の事件、まったく予期せぬ出来事だったのでさすがに驚いた。普段テレビをほとんど見ない私である。ネットサーフィン中に情報が入り、急遽テレビを点けて確認したが…。

 さて、テレビを中心とした事件の報道姿勢には違和感を強く抱くしかなかった。現総理ではなく今は一議員に過ぎないのに、アナウンサーもキャスターも黒っぽいスーツやネクタイを締め、特番を組み一日中まるで英雄が死んだかのような報道ぶり。

 安倍氏が総理として一次と二次を合わせた計8年8ヶ月の在職中、功罪の比較では功の部分はほとんどなく罪ばかりの印象しかない。その罪の大部分をまるで功績だったかのように報道する異常さ。

 事件後数日経過したにもかかわらず、テレビを中心に相変わらず「民主主義の危機」とか、「暴力で言論を封じるのは許せない」とか、ありきたりの表面的な現状を憂う言葉ばかりが目立つ。

 しかし、日本の民主主義を破壊し続けてきたのは安倍氏本人ではないか。ところがテレビ報道では彼をまるで民主主義者であったかのような扱いで、大衆の洗脳機関と化したNHKはじめ民放各局には本当に呆れる。

 安倍氏が撃ち殺されことは衝撃的とはいえ、同時に人の先行きなんてどうなるか分からないという不条理も強く感じて、呆気に取られたというのが私の正直な気持ちだ。冷静に考えれば安倍氏の死は不条理とは違うかもしれない。しかし、安倍氏本人は背後から銃撃されるなんて露ほども想像していなかっただろう。

 ともかく事実として有名な政治家が公衆の面前で殺され、新型コロナは感染拡大を繰り返し、止まらぬ物価高で庶民生活は圧迫され、ウクライナ戦争の終わりは見えず、益々閉塞感が漂い息苦しくなる現実社会である。第二次世界大戦前と社会情勢が益々似てきた。

蛇足;参議院選挙は予想通り、私としては残念な結果だが特に驚きはしない。大勝した自民党だが、安倍晋三が突然消えたことでかなり混乱するかも、岸田首相の今後の取り組みに注視したい。