夏の異変

 今年の夏も変だった。夏はまだ終っちゃいないが、過去形にしていいかも。7月下旬から8月の初めにかけて気温がかなり上昇し、猛暑を覚悟したが、台風11号の接近とともに雨が降りつづけ、台風が去った後も天候不順、まるで梅雨空に戻ったかのようだった。

 台風11号のもたらした豪雨で災害に遭われた方々は本当にお気の毒だが、その後涼しくなったお陰で私自身はずいぶん助かった。扇風機を強く回す必要もなく、朝方は毛布一枚では足りずに布団をかぶって寝ているくらい。

 ここ数日、夏らしくなったものの普通の暑さでそれほどのことはなく、今後10日先の天気予報では最高気温が30℃を超える日はほとんどない(金沢)。なぜかしらセミの鳴き声も元気なさそう、すでに秋の気配を感じる。後々今年の夏は「冷夏」の表記がされることだろう。

 気候の異変だけでなく、高校野球も例年とは違った展開になっている。第96回夏の全国高校野球甲子園大会も後半に入ったが、ここまでなんと北陸4県の代表校がすべて2回戦を突破した。これは史上初めてのこと。野球にすっかり興味が失せた私でもさすがにビックリした。

 今年の特徴はなんといっても北信越と東北の各代表が強いこと。これまでの九州、中国、四国、近畿など西日本、及び太平洋側の高校が強いというイメージは完全に払拭された。雪国のハンデで実力を見下されていた地域のチームが強豪を次々と倒すのは痛快。

 いったい何が変わったのか。野球留学の成果が出ているのは確かだろう。福井の敦賀気比や、青森の八戸学院光星、福島の聖光学院などは大阪や兵庫など関西からの野球留学生が大半らしい。ただ野球留学生が多いからと言って必ず強いとも限らず、星稜や富山商などは県内生徒だけだ。心情的には富山商のような高校をどうしても応援したくなる。

 暑くなったり寒くなったり、豪雨や日照りなど、極端な天候不順は願い下げだが、雪国が躍進する高校野球の異変は大歓迎だ。