敗戦記念日に寄せて

 月の後半に入っても相変わらず暑いが、しかし強烈な日差しは少しずつ弱くなってきたようだ。日没もだんだん早くなり、夜には鈴虫の鳴き声も聞こてきた。最高気温は32~33℃、猛暑日にはならないのでホッとしている。

 8月は夏の盛りで海や太陽のイメージが強いが、それ以外では何を連想するだろう。お盆の季節で、全国高校野球選手権大会が甲子園で開催される月でもあるが、何と言っても太平洋戦争が終了した月であり、日本は戦争で負けたというイメージが強い月である。

 今月の8月15日は日本の「敗戦記念日」だった。先の第二次世界大戦で日本は完膚なきまでに敗北したが、世間一般では敗戦を終戦という言葉で誤魔化している。

 日本は米国だけでなく、中国にもその他のアジア諸国にも、そして何よりも世間の常識に敗北した。1945年の8月15日まで日本はあまりに非常識な道を進んできたが、その結果として、日本だけで310万人の犠牲者を出し、アジア諸国を中心に数千万人の尊い命を奪ったのだ。

 そして戦後74年後の今現在、非常識が再び日本を覆っている。時の流れと共に変わったのは表層だけ、日本は本質的にちっとも変わっていなかったようだ。変わるとはどういうことなのか、私たちはもっと学ばなければならない。

 平成天皇は在任中、沖縄や太平洋の島々へ「慰霊の旅」に出かけ、先の戦争で亡くなった人々を弔ったが、それはあくまでも日本人の戦争犠牲者に対してだけだった。

 元号が「平成」から「令和」に変わり、新天皇が即位。令和天皇には是非実行してもらいたいことがある。「慰霊」を継承するのはもちろん令和天皇には、中国や朝鮮や東南アジアへ、日本人の加害者としての責任を自覚する「旅」に出て欲しい。そしてアジア諸国で犠牲になった人々に対して「深い反省」を実行してもらいたい。侵略国日本、加害者日本人の自覚を象徴天皇として具体的に世間一般に表明できてこそ日本は未来へ一歩前進できる。

 安倍晋三首相は「未来志向」という言葉に逃げて、過去を直視することを極端に恐れているが、過去に目を閉ざし未来を切り拓けるわけがない。「深い反省」をしない安倍政権は日本を確実に衰退させ、滅亡への道を加速させる。