革新・リベラルの二大政党

 7月13日(日)の滋賀県知事選にて、嘉田由起子前知事の卒原発を継承する三日月大造氏が当選。今の社会状況で、原発再稼働に邁進したがる自公推薦の小鑓隆史氏を破ったことは重要だ。

 三日月大造氏は25万3728票。小鑓隆史は24万652票。もう一人、共産党推薦の坪田五久男氏は5万3280票。投票率は50.15%。事実上、三日月氏と小鑓氏との一騎打ちとなり、三日月氏の勝利は僅差だった。しかし、三日月氏以上に反原発を訴えた坪田氏も5万票を獲得、それを加えるなら30万票以上となり、脱原発原発推進の差が6万票以上になったことはとても意味深いと思う。

 1955年以来、いわゆる55年体制が確立し、自民党社会党が比率的には2対1の二大政党制がしばらくつづいた。これは一応保守対革新の形だった。その後、社会党が没落し、替わって民主党が誕生する。しかし、民主党は革新というよりむしろ保守に近く、保守対保守の二大政党ができてしまう。この形は非常にマズいと思っていたら、案の定、現在は一強多弱で自民党独裁のもっとも悪い政局となる。

 一般論として、保守対革新だと政権交替の度に社会は混乱するし、保守対保守では全体として保守色がさらに強まり独裁体制が形作られやすくなる。革新対革新なら二大政党が互いに切磋琢磨しつつ、立憲主義・平和主義・人権主義が進展するだろう。

 ただ、どんなに理想を掲げる革新であろうといくつもの革新が合体して独裁になってはやはりマズいのであり、やや保守的なリベラル勢力も躍進した方がいいかもしれない。だから革新対革新よりも、革新対リベラルの二大政党制がいい。天皇制を掲げる日本という国で、革新対リベラルの二大政党制など夢のまた夢かもしれないが…。

 滋賀県の知事選に戻るなら、三日月氏と小鑓氏が競い合うのではなく、三日月氏と坪田氏が本来は競い合わなければならないのだ。悪い状況を迎えればこそ一条の光りが見えてくると言うが、三日月氏の勝利が希望になればいい。今年中に実施される福島と沖縄の知事選挙、結果次第で政局がガラリと変わる可能性もある。