無症状の感染者と自覚しつつ

 まさか11月下旬の金沢で夏を体験するとは思わなかったな。先週の水曜と木曜は日中の気温が26℃を超える夏日、陽が沈んでからも25℃の熱帯夜。石川だけでなく全国各地で11月における最高温度を記録したという。

 暖かい、というより暑くてヘタすれば熱中症になりそうだった。なんで11月下旬の晩秋に熱中症を気にしなければならないのか。街中を歩くときはほとんどシャツ一枚で間に合ったし、家に帰ってからは体が汗ばみエアコンの冷房を入れたくなったほど。さすがにそれはしなかったが、まったく変だ。

 「異常」という形容がピッタリのこの陽気、新型コロナの感染拡大も益々深刻化する中、何だか不気味。土曜は急に寒くなったとはいえ平年並みに戻っただけ。11月に金沢で二日連続の夏日は気象観測史上初めてのことだった。

 その新型コロナだが、感染者数は右肩上がり、連日新記録を更新中。東京では三日連続500人突破、大阪は東京を凌ぐ勢いだし、北海道の感染率は特に急上昇、日本全体が深刻な状況に陥ろうとしている。

 そんな危機的状況の最中にIOCのバッハ会長がわざわざ来日、来年の東京オリンピックについて建前上いろいろ協議したようだ。しかし、本音では東京オリンピックなんか開催出来るわけないと思っているのでは? 世界の現状を見れば、2022年の北京冬季五輪、2024年のパリ夏季五輪すら、下手すれば無理。

 新型コロナの急激な感染拡大と医療関係者等の訴えから、政府はようやく火に油を注ぐ「Go To トラベル」「Go To イート」を見直すようだが、「時既に遅し」の感は免れず、これは政策の完全な失敗。本格的な冬を迎える年末から年始、そして二月の寒冷期、今後益々感染者数は増加傾向を示すのは間違いない。

 政治が無能だからひとりの人間として何ができるか、それを第一に考えなければならないとは情けない社会だが、個人として感染しないよう用心するより、感染してるという前提で感染させないよう注意すべきかも。自分は大丈夫と自惚れるより、自分は無症状の感染者と自覚しつつ毎日を送る方が、少なくとも自分を含め周囲に危険が及ぶ可能性はかなり低くなるかもしれない。