秘密はダメだ

 TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の進捗状況がサッパリ分からない。TPPを評価するにも徹底した秘密主義で分からないのだから評価のしようがない、と専門家などが口にする。TPPが日本の国益に適うのか、日本だけでなく参加国にとってメリットなのかデメリットなのか。

 思うに、秘密主義であること自体、TPPは胡散臭い。情報公開をしない秘密のベールに覆われたTPPなどロクでもない代物であることは想像できる。

 特定秘密保護法案が閣議決定し今国会に提出された。このままでは与党の圧倒的多数で法案が通りそうである。こんな物騒な法案が確定したら、この時点で日本の民主主義は完全に終わると言っていい。これまで日本の民主主義は形式だけだったが、そんな形だけの民主主義ですら崩壊しかねない。

 防衛、外交、スパイ防止、テロ対策等にしか秘密保護法案は適用しない、と自民党の国会議員は口を揃えるが、いったい誰が信用するだろうか。拡大解釈され、あらゆる領域に法案の網が敷かれ、日本全土が刑務所化してゆく。

 公な組織が大きくなればなるほど情報は開示されるべき。秘密を守らなければならないのはひとり一人の名も無き庶民の私生活だけでいい。ところが日本では、いや世界全体が、国家を頂点とした公的機関を秘密で覆いたがり、逆に私たち庶民を丸裸にしてコントロールしようする。IT(情報技術)が発達したのはいいが、それを権力が掌握することで、徹底した管理・支配が可能になった。

 かつての旧ソ連を親分とした東側社会主義国の多くが崩壊した一番の原因は、その秘密主義にあったからだろう。当時の西側資本主義国は東側より情報は公開されていた。この差は大きかった。

 朝鮮民主主義人民共和国北朝鮮)の不気味さは、その徹底した秘密主義にあり、もしこの先も体裁を保ちたければ情報公開に進むべきなのだ。それができなければ朝鮮は崩壊の道を辿る。そして限りなく朝鮮の真似をしたがる日本という国も崩壊してゆく。

 それにしても世界全体が、ディストピア小説の傑作「1984」の描く悪夢の社会に益々ソックリになってきた。