ちょっと驚いた

 昨日の新聞一面は「日本人26万人減」のお大見出し。3月末の前年比で自然減が過去最大になったという。26万人という数字に驚いたわけじゃない。全国の日本人の数はそれでも1億2639万3679人もいる。まだまだ多すぎる。私は各都道府県の人口表を見て驚いたのだ。

 東京が1300万近くもの人口を抱えていることは前から知っていたが、周辺の神奈川や埼玉、千葉の人口のあまりの多さにあらためて驚いた。神奈川は約900万、埼玉は700万以上、千葉が600万以上、これらと東京で3500万の人口であり、さらに群馬や栃木や茨城の人口を加えると、関東地方だけで軽く4000万人を超える。この人口集中密度は凄い。

 一方、人口が極端に少ないのは山陰や四国や北陸で、島根と鳥取で約130万、四国全体でも400万ほど、北陸三県(福井、石川、富山)では300万だ。山陰と四国と北陸を合計しても神奈川一県に及ばない。狭い日本だが、人口の密集地帯と過疎地帯が極端である。

 さて、夏の高校野球甲子園大会が先週終わったが、一府県一校(東京と北海道は2校)という選抜制度はつくづく不公平だと痛感する。私の住む石川県(115万人)を基準にして、およそ100万人の地域から一校選抜されるとしたら、神奈川は少なくとも8校、埼玉は7校、千葉は6校、それぞれ甲子園に出場できる権利があるはずだ。しかしこれらの地域からも一校のみ。これは衆議院参議院一票の格差・選挙区割り以上に不公平ではないか。

 以上のような状況にもかかわらず、これがあまり大きな問題にならないのは高校野球を特別扱いしているからとしか思えない。たかが高校野球であるが、しかし日本が抱える様々な難題がまったく解決せずにズルズルと先送りされる根本要因が、じつは「ひたむき」や「正々堂々」といった高校野球に代表される「感動の押し売り」を盾にして改革をサボってきたからだ。東日本大震災の復興も「善意の感動」に隠れて遅々として進まないのが実態ではないのか。

 ところで日本は、人口減なのに65才以上は3000万人を突破したらしい。世界では人口が増加しているのに、日本は少子高齢化が進む。そして、税や福祉や医療や年金など、問題が山積しつづける。高校野球の不公平をそのままにして、国家制度の抜本改革などできるわけがないとつくづく思う。感動が全国津々浦々まで浸透しつつ、益々不公平が蔓延してゆく日本という国。ため息ばかりが出る晩夏のひとときである。