近未来予想

 SFに興味がある私は未来や異次元の世界を空想するのが昔から好きだった。遠い宇宙の果てや、何百年〜何千年も経た時代について想像するのは楽しい。とはいえ、あまりかけ離れた世界や遥かな未来を思い描いても非現実的だから、これから20年〜30年先、日本の近未来についてちょっと考えてみようか。

 平和で安全な、人々が自由で明るい将来を誰もが願う。だが、冷静に、現実に起きている状況を鑑みると、日本では私たちの願いとはまったく逆方向に進む可能性が大きく、とても心配になってくる。

 21日の参議院選挙で自民党が大勝した。昨年暮れの衆議院選挙の結果とともに、日本では独裁体制が形成されつつあり、安倍政権が目指す政策が実現すればするほど、どんどん窮屈な社会になりそうだ。

 原発再稼働、TPP参加、消費税増税憲法改悪、国防軍…どれもが深刻。アベノミクスという経済政策の顛末を思い描くだけで暗くなる。大企業が儲かるためだけのアベノミクス非正規社員が増加し、格差を益々拡大させるアベノミクスアベノミクスでどんなに景気回復を煽ろうと、私たち庶民は初めから蚊帳の外である。

 このままでは、中間層がやせ細り、大多数の人々が貧困に喘ぐことになる。だから、アベノミクスは失敗する可能性のほうが大きく、その結果、安倍政権は支持を失い倒壊する。問題はその後だ。右翼的傾向からリベラルな政治体制に流れは変わってほしいが、むしろ社会はさらに偏狭し排外主義的な反動が全体を覆うかもしれない。

 人々が困窮して苦しむとき、その溜まった鬱積は私たちを統治する権力機構に向かうより、自分たちとは違う外側の世界へと流れやすい。日本のような没個性の集団社会においては特にそうだ。第二次世界大戦前のナチスドイツや日本の天皇軍国主義がいい例で、もうその前兆は出ている。

 東京と大阪におけるヘイトスピーチデモや、橋下徹日本維新の会など、それらはこれからの社会動乱のためのほんの入り口かもしれず、第二、第三の橋下徹が出現するだろう。20世紀前半とソックリ同じにはならなくても、とてもよく似た状況が100年後の現在に繰り返される。

 私の近未来予想など外れてほしいが…。