社会を変えるのに勇気はいらない

 2大政党なんて、初めは違うように見えても、時間が経過すれば共に似たようになる。民主党自民党も表向きは喧嘩を装うが、中身にそれほど違いはないので実際は仲が良く、いずれ政局を睨んで大連立する可能性が高い。そんな従来型政治は嫌だと「維新の会」が注目を浴びるが、民主党自民党の悪い部分をソックリ受け入れ増幅させるような「維新の会」なんて私はまっぴらゴメンだ。

 現実の社会を一気に変えることは難しい。実態はともかく、形だけでも民主主義を標榜するのだから、せめてその手段である選挙制度を有効活用したい。その選挙制度すら無意味だと放棄するなら無関心を装う彼らこそが独裁政治の加担者となる。

 現在、政党の数だけは乱立しているが、そのほとんどがかつての自民党から枝分かれした、本質は似たり寄ったりの保守政党ばかり。今現在、野党と呼べるのは共産党社民党だけで、私はこの両党に期待するしかないと思う。日本にも緑の党ができたそうだが…。

 実際に共産党社民党が政権を取ることは不可能、ほとんどありえないだろう。かりに両党が政権を担うことができたとしても、ガラリと現状が変わるはずがなく、共産党社民党も資本主義内における改革を唱えている。それでもやはり、自民党的ではない両党は重要な存在である。もし国会の議席数のうち1/3、いや、せめて1/4でも共産党社民党が占めるならだいぶ違う。政局に明け暮れる現状から、少なくとも政策論議はもっと活発になり政治はもっと緊張するに違いない。

 一握りの人間が運命を担う状況は不幸である。そんな危険な社会から大勢の民衆が責任を受け持つ民主主義社会へとなんとか移行してきた。生きるためには勇気は必要だが、常に勇気を奮わなければならないなんて大変だ。無理に勇気を出さなくてもいいように、多くの人が普通に生活できるように、そんな社会を築く為に民主主義がある。

 野田第2次内閣が発足したが、防衛大臣に就任したのは軍事評論家として大手メディアに頻繁に顔を出す森本敏氏。森本氏は航空自衛隊出身で拓殖大学大学院教授、親米右翼でタカ派の代表的人物である。野田政権はかつての自民党と同等か、むしろより以上の保守・親米・財界と官僚の一体型政治であることを証明した。

 このままでいいのか。どんなに遅くても来年の8月には総選挙がある。民衆の力で社会は少しずつでも変えられる。選挙の投票に勇気はいらない。