一生に一度の金環日食

 金環日食がいよいよ迫ってきた。九州から四国、東海、関東の太平洋側では完全な金環日食が見られる。日本でこれだけ広範囲にわたり観測できるのは932年ぶりらしい。北陸の金沢では部分日蝕だが、それでも完全に近い(80〜90%)というから大いに楽しみだ。こんな体験は一生に一度あるかどうかなので大切な思い出としたい。

 こんな世紀の天体ショーなのに、なぜか3年前の皆既日食のときほど世間は騒いでないような気がする。皆既日食では月が太陽をスッポリ覆い隠すので真昼でも夜のように暗くなるが、金環日食は太陽の内側に月が入り光は遮断されないので明るさに極端な変化はない。現象としてドラマチックさに欠けるから話題が沸騰しないのか。

 皆既と金環の違いは、太陽を公転する地球の楕円軌道と、地球を公転する月の楕円軌道との、遠近の関係により生じるのだが、それにしても我々に身近な太陽と月と地球の見事なバランスに感嘆するとともに、あらためて宇宙の神秘に魅了される。

 部分日蝕なら小学生のときに見た記憶がある。先生から教えられ、教室の全員が校舎の屋上や運動場にて分厚い下敷きを顔にあてながら見た。そのときは3分の1ほど太陽が欠けただけだった。

 ところで、新聞やテレビで注意を呼びかけているように、着色した半透明の板なんかでは絶対に見ないこと。サングラスなど論外、失明の危険性がある。私はスーパーの文房具売り場で専用グッズを購入したが、普通に覗くだけでは先の景色は何も見えず真っ暗。説明書を読む限りこれなら大丈夫だろう。

 明日の天候が気になる。金沢は晴れときどき曇り。直前になり予報は外れる可能性があるけれど、なんとかなりそうだ。朝方の日食の時間帯だけでも東の方角がきれいな青空になってほしいと願わずにはいられない。いつもより少し早起きして準備しながら待つことにしよう。