普段の生活上、私たちにとって本当に便利でありがたいな、と思う品物を幾つか列挙してみる。大袈裟なタイトルだが、機械や電気を利用した複雑な製品ではなく、身近に転がる私たちが手に取れる品々に限定しよう。挙げればキリがないので5点ほどに絞ってみた。
1.紙
こんな便利な物はない。文字や絵を描いて伝達手段に用いるだけでなく、丸めたり折り曲げることもできる。だから、包装もできるし、独自に遊ぶこともできる。
2.レンズ
視野が格段に広まり深まった。メガネを始め、望遠鏡や顕微鏡などで遠くや極小の世界を覗けるようになった。
3.石鹸
身体や衣類などを洗うことで健康を促進し、心までもが晴れやかになる。汚れた世界から清潔な世界へと変身できた。
4.傘
雨降りの日も傘を差すだけで外出できるようになり、人間の行動範囲が拡大した。雨だけでなく日照りのときも紫外線から守ってくれる。
5.鏡
表面を写すだけでなく自己の内面との会話にまで使用することができる。さらに背後を見ることができるようになり視界が広がった。
以上。今、現時点における品々だから明日になればまったく別の物が選ばれるかもしれず、あくまでも個人的な印象に過ぎない。ハサミやペンも浮かんだが、それらは紙との関連性が近いので除外した。なるべくかけ離れた品々にしようとの意識が自然に働いたのだ。
さて、紙、レンズ、石鹸、傘、鏡、と列挙して思うのは、いずれも人間の身近に存在しながら関連性があまり感じられない物同士とはいえ、しかしどれもが人間に視野を、行動範囲を、世界観を・・・それらを拡大させくれたという意味では共通していると思う。
交通手段やコンピューターやエネルギーなど、これから科学技術がどんなに進歩しようと、結局は最後に残る物はといえば、古くから私たちの生活を支え、常に私たちと共存可能な身近な品物かもしれない。