勝手な思い込み

 本当に存在するのかどうか、悪意を秘めた捏造なのか、単なる初歩的ミスなのか。連日、STAP細胞問題が世間を賑わせているが、主役を演じる小保方晴子さんを見ていると、この人は相当思い込みが激しい人なんだなぁ、と思わずにはいられない。

 科学的で詳細なことは専門家に任せるとして、外野席から眺める私のような単純な人間には、今回のSTAP騒動はあまりに人間臭く、私たちにも身近な問題を提起してくれている。

 小保方さんの思い込みの激しさはSTAP細胞が「200回も成功している」と強調するところによく現れている。200回だろうと、1000回だろうと、本人がいくら成功を強く訴えようと、それを証明する材料がなければ話にならず、研究者の最低限のルールであるノート記載がきちんとされていなかったというのは致命的だ。

 普段の生活において我々は勝手な思い込みをすることがよくある。恋愛なんかでは特にそうで、一方的に好意を寄せる相手には自分に都合よく妄想を膨らませたり、また買物にしても欲しくなった物の欠点には目をつむり、これはきっと優れ物に違いないと信じてしまう。ところが実際、相手と接したり、品物を手にすると、こんなはずじゃなかった、ということになる。

 思い込みが強過ぎると、自分で自分に暗示をかけてしまいかねず、一旦暗示にかかってしまうとなかなか抜け出られない。これは誰にでもよくあることで、実験は成功したと思い込んでる、いや思い込みたい心情に小保方さんは支配されているのかもしれない。

 人生に失敗はつきものだから、よほどのことがない限り小保方さんを抹殺するようなことをしてはいけないと思う。小保方さん一人に責任を負わせようとする理研の姿勢にも大きな疑問符?がつく。

 灯台下暗し。意外と身近で単純なところに世紀の大発見は隠れているかもしれず、STAP細胞が今後どのように展開してゆくのか注視したい。