電気製品の宣伝

 テレビや冷蔵庫や洗濯機などの従来品から、パソコンやモデムや携帯電話などのIT機器まで、家の中は電気製品で溢れている。とても便利で私たちの生活に欠かせないものばかりだが、しかしそれらの宣伝には戸惑うことが多い。

 例えばエアコンなどは典型で、映像やチラシには室内に取り付ける本体だけがキレイにスマートに写っているが、室外機はほとんど目にしない。エアコンは本体と室外機が一体となってはじめて機能するはずなのに、あのデカイ室外機を隠すのはなぜか? パソコンなどもデザインやスピードやハードディスクの容量など洗練された箇所ばかりを強調し、充電装置などを含む電源関連がほとんど出てこない。テレビショッピングで電子辞書を紹介していたが、豊富なコンテンツと多機能ばかりを説明し、肝心のバッテリー駆動時間がまったく無視されていた。

 付属品は当たり前、電源部分は常識になっており、あえて取り上げる必要はないのだろうか。どうもそんな気がしない。むしろそれらは宣伝にとってカッコ悪いので、あえて人目に付かないよう配慮しているかのようだ。

 だいぶ前になるが、当時の最新ノートパソコンを購入したとき、大きなアダプターが一緒に付いてきたのでビックリした。電源コードだけと思ったら、弁当箱みたいなアダプターとセットだった。これでは占有場所が2倍近くにもなりノートの意味がないじゃないか、と嘆いたことがある。

 宣伝の目的はイメージアップのみにあり、製品の実態を正確に伝えたりはしないのだろう。しかし、そんなことで果たしていいのか。

 原子力発電所が「安心・安全・安価」のみを常に宣伝してきたことを決して忘れてはならない。

 資本主義が行き詰っている。儲けるためのイメージ戦略に明け暮れる資本主義が行き詰るのは当然で、電気製品に限らず、良い面だけでなく欠点だと思われる箇所も、自らが正直に伝えてこそ信頼が得られるはず。宣伝のあり方も早急に変わるべきだと思う。