電気製品のトラブル

 いつも使用している電気製品が故障して困った経験をしたことは誰にでもあるだろう。自宅や職場で様々な機器類に囲まれている私たちにとって、たったひとつでも動作不良になると生活のリズムが狂い精神衛生上にも影響を与える。

 何十年も使用して明らかに寿命だと思われる製品なら諦めもつくが、まだそれほど月日が経っていなかったり、ましてや買ったばかりの新品が動かなくなったりすると、電気に詳しくない人など本当に途方に暮れるのではないだろうか。

 ところで、電気製品のトラブルの多くは本体より外側の電源コードやプラグで発生する。かりに本体内部のトラブルでもほとんどが電源部分に集中している。テレビのスイッチを入れたのに映らないのは、プラグがコンセントに差し込まれていなかったから、という昔からの笑い話は今現在もりっぱに生きているし、タコ足配線による過電流、プラグの乱暴な抜き差しやコードの捻じれによる断線、それらがトラブルの大半である。

 しかしながら人間には、ちょっとしたことでついつい深入りする傾向があり、精密で複雑で難しいというイメージが電気製品には付きまとうのか、トラブルに巻き込まれるとどうしても本体内部に意識が移りがちだ。ついつい外側のケースを外して中を覗き込み、挙句の果ては工具を用いて分解作業に明け暮れることにもなりかねない。そうして、じつは小さなトラブルで済んだはずが修復不能の重傷に陥らせたりする。

 パソコンを操作しているとフリーズすることがあるが、そんな時はリセットすれば大概は復活する。CPUをはじめとするIC類やハードディスクが故障することは、よほど乱暴に扱わない限り滅多にあるものではない。

 東京電力福島第一原子力発電所の大事故は、原子炉全体を冷却する電源部分の喪失が最大の原因だったと指摘されている。要するに原子力を安定的に動作させる電源が不備だったのである。いかに大元の電源部分が重要であるかが分かる。

 電気製品が故障したと思ったら、まずは外側のコードやプラグを確認し、次に電源部分に注視すればいい。それだけで95%のトラブルは解消されるだろう。

 以上、エラそうに述べたのは他でもない、これまで私は同じ失敗を何度も繰り返してきたからだ。