民主主義への道は長い

 ちょうど2年前の総選挙で自民党が敗北、民主党が大勝して政権交代が実現した。それから2年間、民主党もすっかり自民党のようになってしまった。

 今回、新たに選任された野田佳彦という総理大臣がいつまで持つか分からないが、もし長期政権になるなら、それは私たち庶民からの支持よりも米国や財界や官僚から好まれた結果であり、1年ほどの短期でまた終われば、鳩山、菅とつづく、相も変わらぬダメ政権だったということ。長期であろうと、短期であろうと、どちらも庶民にとっては不幸である。

 鳩山由紀夫菅直人は、確かにこれまでの自民党の総理大臣とは違った。ただ、鳩山氏は米軍基地問題で、菅氏は原発問題で辞任せざるを得なくなった。どちらもこれまでの自民党政権ではメスの入らなかった問題に着手し、二人ともなんとか前進させようと努力したようだが、米国、財界、官僚のカベに潰された。相手があまりにも手強かったのだ。

 しかし、政権交代して良かったと思う。政権交代しなければ多くの問題が相変わらず闇に埋もれたままだったろう。日本社会にはドス黒い膿が大量に沈殿していることが明らかになっただけでも政権交代した意味はあった。問題が出ずっぱりで、解決の道はまるで見えないが・・・。

 いま政治の中枢に求められるのは、例えば、事故が起きなくとも脱原発を主張し実践できるような政治家とブレーンであり、また例えば、自衛隊という軍隊を世界に誇れる災害救助隊に転身させようと働きかける政治家とブレーンである。東電福島第一原発の大事故の後、世間では反原発脱原発の動きが活発になり、それに後押しされるかのように管直人脱原発へ舵を切ろうとしたが、事故が起きなければ原発を推進しようとしていたのだからあまり自慢できない。

 後を継ぐ野田政権だが、残念ながら疑問符?が付く。財政、原発、基地・・・そのどれもがこれまでの自民党的体質からの変化は期待できそうもない。むしろ軍事・基地問題では自民党よりもタカ派的になるかもしれない。

 絶望的な政治状況ではある。しかし、日本に民主主義は必ず根付く。ただし300年くらいかかるかもしれず、それくらいの長期的視野で臨まなければ難しいだろう。時間をかけて少しずつ歩めばいい。前進するには勇気と度量が必要で、それを政治家にだけ求めるのは酷だ。政治家に丸投げしてはならず、私たち庶民は選択する責任を常に自覚しなければならない。