風評被害を乗り越えたい

 原発の大事故で大量の放射能が飛散した。大気や土壌や海水だけでなく、様々な食物に放射性物質が付着し大勢の人々の内部被爆が心配される。それに伴い様々な風評被害も全国各地で発生している。

 大騒ぎした牛肉だけでなく、米、魚、果物・・・等、放射性物質を含んだ食物はこれからもたくさん出ることが予想される。さて、汚染食品を目の前にしたとき私たちはどのように対処すべきなのか。

 検査機関の設定した数値だが、ある食物を計測して少しでも基準を上回ったなら、それは廃棄するしかないのか。安全のための設定だが、基準値を少し超えたくらいで「悪」のレッテルを貼るとしたらあまりに単純だ。

 汚染濃度の高い食品は幼児や子供や妊婦に食べさせてはもちろんいけない。しかし数値が多少超えたものは大人がどんどん消費すればいい。年齢の境はとりあえず50歳位(40歳でも60歳でもいい)を目安にしよう。子供たちの未来のためにも、先の短い年配者こそが率先して汚染食品を口にすべきであり、これこそが誰にでもできる被災地への救済策だ。

 毎日の生活で私たちは「賞味期限」や「消費期限」をどれほど気にしてるだろうか。それらの期限を一日過ぎただけで大量の商品を処分するとしたら、なんてもったいない。

 デジタルの時代になりマニュアル化や数値の先行がはなはだしく、「臨機応変」や「良い加減さ」が失われつつある。

 デジタル製品の普及で私たちの生活は便利になったかもしれないが、人間の感情の機微までデジタル化されることに殺伐さを感じる。社会のバランスを保つため、生身の人間として柔軟なアナログ感覚をデジタルの時代になった今こそ大切に育てたい。