人生処方

 生きているとイヤなことにたくさん遭遇する。不可抗力によるのもあるが、大半は他者との関わり合いで起きる。全然大したことないほんのちょっとしたことでも、相手が誤解したり気に触ったりしてイチャモンを付けられ、そんな時は本当に困る。

 他者から不快な思いをさせられた時にはどう気分転換すべきか。面と向かって正々堂々対応し、こちらが理路整然と意見を述べると、それだけで相手の感情を逆撫で、小さなボヤに油を注くことになり却って大火になりかねず、そうなると自分が損するだけだ。

 どうしたらいいのか。一番簡単なのは、こいつは不幸な奴だと想像すること。小さなことでケチを付けたがる輩は、至る所でそれをしてるから、誰からも好かれるはずがない、おそらく家庭でも職場でも。不幸のどん底に落ち続ける哀れな奴、と思い巡らすだけで随分楽な気分になる。

 生きてると嫌いな奴は必ずいて、相手にしないことが一番だが、とはいえ人間はどうしても過去を顧みる存在だ。過去の楽しい思い出に浸れる人はどれほどいるだろうか。大勢の心の内は知らないが、過去を振り返ればイヤな記憶ばかりが蘇る私である。だからこそ、私にはより良き未来があると信じたい。

 これまでの辛い経験はなんのためにあるかと言えば、それは自分を鍛えるため、自分をより強くするため。不可抗力や人間関係で多くの人、いやほとんどの人、いやいや全ての人と言っていいだろう、間違いや失敗を繰り返す。でも、未来は過去を克服するため拓くと思えばやる気が出てくる。

 もし未来が今より悲惨な状況になるとしたら、それは「過去の栄光」という幻想に囚われた人々のせいである。過去を学ぶことはとても大切だが、過去に憧れを抱くのは禁物。幸せを得た人よりも、悲惨な目に遭わされた人の方が圧倒的に多い、それが人間の歴史の事実だから。