スマホ依存

 以前「健康中毒」について記事を書き、その本末転倒ぶりに疑問を抱いた私だが、健康中毒と並んで深刻なのが今や多くの識者が嘆く若者中心に蔓延るスマホ依存症である。

 街に出て交差点で信号待ちしてると、傍らにはスマホと睨めっとしてる人が大勢いて、信号が青に変わり横断歩道を渡り始めても、彼ら彼女らはスマホから一時も目を離さず歩き続ける。

 横断歩道を渡ってる時でさえスマホから目を離そうとしないのは、つくづく異常だなと思う。いったい彼ら彼女らはスマホで何を見ているのだろうか。LINEの返事か、ニュースの断片か、スポーツの結果か、それとも芸能人のスキャンダルか…。

 スマホ依存者たちは中身のある記事を見たり読んだりしてるわけじゃなく、加工された写真や他愛無い短文をスクロールしながら次から次へと目を通してるだけ? そして自分が投稿した写真や文章にイイネが付いてるかどうか、誰かが返事をくれたかどうかが気になってしょうがない?

 街中にはスマホ依存者たちで溢れかえっているが、そんな人たちの毎日の生活ぶりは大体想像がつく。食事中も、お風呂に入ってる間も、トイレで用を足してる時でさえ、彼ら彼女らはスマホと睨めっこしてるに違いなく、これはもうスマホを利用してるんじゃなく、完全にスマホに操られてる。

 歩きスマホなど本人どころか周囲の人々に対しても危険だし迷惑千万だが、なにより問題なのは常にスマホを手にしてないと生きられない事態に陥ってること。四六時中スマホから目が離せない人たちは自分の依存症を全く自覚していない。

 年配者に多いテレビ中毒は問題だが、若者を中心に蔓延るスマホ依存はさらに問題で、為政者にとってこれほど統治しやすい人たちはおらず、正にスマホ万歳だろう。健康神話に右往左往させられ、さらにスマホを片時も手放せないとしたら、悪夢の全体主義社会はすぐ目の前だ。