悪夢のような現実

 嗚呼、やっと東京五輪が昨日終わった。この二週間と少しの間、大手メディアはメダル狂想曲と感動物語で騒々しかったが、それらから解放されると思うだけでホッとする。

 五輪などほとんど無視してきた私だが、新型コロナ新規感染者が全国で初めて15000人を超えた翌日すら、新聞は金メダルを取った選手を一面トップで報じる有様を見ると、日本社会はつくづく救いようのないレベルなんだと実感する。

 一体何が重要かは個々人それぞれ違いはあって当然だが、今現在の社会全体を俯瞰したとき、それは五輪ではなく、新型コロナに関する情報と対策であるのは疑いようがないはず。

 もしかして中止になるかも…という淡い期待も裏切られ、強行に開催されてしまった東京五輪。狂気の祭典は終わったとはいえ、しかし、この馬鹿げた大会の間に新型コロナは感染爆発。五輪は無関係と口にする連中には本当に腹が立つ。

 予想を遥かに超える新型コロナ・デルタ株の蔓延(開催期間中にデルタ株よりももっと恐ろしいペルーからのラムダ株が日本でも検出された)。五輪終了後には感染者は東京でも万単位が普通に、重症者及び死亡者は増大する。いろんな思惑が絡み、パラリンピックは開催されない可能性が高くなってきた。

 ゴーストタウンと化した街中。そして猛烈な暑さ。今夏は私がこれまで経験したことのない雰囲気に包まれ、寂しいというか、虚しいというか、本当にやり切れない。

 熱帯夜が続くのでなかなか熟睡できないし、暑さでなかなか物事に集中できないし、気分転換に外に出たくてもどこも閉まってるし…。

 だが、何とか毎日を普段通りに過ごすことができる私は運がいい(明日どうなるか分からないが)。新型コロナに罹患し、入院もできず自宅待機中に生死を彷徨う寝たきりの人々がいて、しかも感染爆発からそんな人々がどんどん増加してる。まるで悪夢のような現実。