無策の果てに

 東京五輪のテレビ中継を私は一切見ないが、それでも新聞やネットから情報はいろいろ入ってくる。どうやら日本選手のメダルラッシュが続いているらしい。ただ、新たな競技が加わり種目が水増しされれば、獲得メダル数が多くなるのは当然だ。

 ワクチン接種をした選手やしてない選手が混合、さらに、劣悪な選手村に閉じ込められたままの選手もいれば、そこを避けて高級ホテルに移動した選手もいる。国や地域の違いから、選手たちの環境に明らかな差が出て、まったくこれほど不公平なスポーツの祭典があるだろうか。

 先週、東京の感染者数は4000名を突破し最高記録更新、まるで新型コロナと五輪とで競い合ってるような錯覚に陥る。

 それにしてもNHKも民放も酷い! 特にNHKは総合もEテレも朝から晩まで五輪オンパレード。五輪中継に隠れて、いったいどれだけ重要なニュースが消されていることか(新聞のテレビ欄を見るだけで分かる)。

 全国の新型コロナ感染拡大が急カーブで上昇する中、全国の感染者数は連日10000人超え、石川県も先週119人を記録し過去最多を記録した。どこから見ても感染者数が減る要素はなく、とうとう日本も欧米並みの状況に陥ったということ。

 おそらく東京だけでも近々感染者数は万単位になる可能性はあるし、全国で連日2~3万人の発表が出ても不思議じゃない。五輪が火に油を注ぐ形となり、当然ながら重症者や死者も増え続ける。

 東京都の発表で都内の重症者は現在114名(2日時点で)だが、しかし国の基準に照らせばその8~9倍、すなわち900~1000人に膨れ上がる。もうとっくに医療崩壊してると見た方がいい。

 まったく無策の菅政権と小池都政である。彼らはまるで他人事、傍観者のように「安全・安心」「不要不急の外出を控えて」の呪文を繰り返すばかり。死んだような目をしながら菅首相は「対策はしっかりやっている」、自分ファーストの小池都知事は「家の中を病床に」なんてトンデモ発言

 新型コロナの感染爆発が東京五輪の開催中と重なったのは必然。危機感を共有できる一番の対策は真っ先に五輪を中止すること。五輪期間は残り一週間だが、今からでも全然遅くない。