陰謀論にダマされるな

 米国大統領選でトランプが敗北。ホッとしてはいるが、しかしなぜトランプのような人物が大統領になれたのか、今後、大いに検証しなければならないだろう。

 トランプという大統領が存在したことは、偶然ではなく時代の必然だったかもしれない。インターネットが普及し、現在多くの人々がSNSを利用していることが、トランプのようなとんでもない人物を大統領まで昇らせる原動力になったと思う。

 発展途上のSNSの存在が、事実ではない虚偽を広め、陰謀論を蔓延させる時代にしてしまったことは間違いない。悲しいことに、多少はまともに思えたジャーナリストや評論家(例えば田中宇のような人物)まで、社会の裏側に潜む陰謀こそが本当だと吹聴しまくる。陰謀論は面白い、だから多くの人たちが騙されてしまう。

 ネットで検索すると陰謀論で溢れている。多くのブログや記事でいかにもこれが真実であるかのように記述し、「自分だけは知っている、自分以外は何も知らないバカ…」そんな類の記事が本当に多くて呆れる。

 もちろん陰謀めいたことは世にはあるだろうが、しかしそれが秘密裏に人類を自在に操ってるかのような主張は、まったく信用ならないだけでなく、むしろ害悪。陰謀論は事実ではない。フィクションとして I F(イフ)小説にしたら面白いだろうが…。

 たとえどんな大それた陰謀を謀ったとしても、所詮、自然界の中に組み込まれた人間の営みにおいては、人間が全てをコントロールできるはずがなく、必ず何かの要因で歯車は狂うし、計画通りには決して進まない。

 光が当たるところ必ず闇が生まれ、表があれば必ず裏があるのは当然だし、そんな闇や裏の世界を考察するのはとても重要。とはいえ、闇や裏に取り憑かれダークな世界に埋没してしまっては浮かばれない。

 先を100%見通せる予言者などいない。予想とは外れるもの。自分の予想が外れたからといって、何も恥じることなどないし、新たに軌道修正すればいいだけのこと。自分を常に正当化するため無理やり事実を捻じ曲げようとすれば、陰謀論のさらに陰謀論の底なし沼へハマりつづけ抜け出せなくなる。